助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「俺が好きか嫌いか、それだけで決めろ」

 この人は変わらない。どこまでも真っ直ぐにこちらを追い駆けて来たんだ。長い期間をかけて、私が納得するだけの結果を用意してまで。
 もう、逃げられない。
 メルは追い詰められた兎の様に頭をしゅんと垂らすと……ぼそっと、小さい声で言った。

「す……き、です」

 その言葉を、なによりも待っていたというように、ラルドリスはぶるぶる震えると、大きく拳を握った。

「……言ったな? やったぁぁぁぁぁ! やったぞ!」

 メルを力強く抱きしめ、彼は体一杯に歓喜を表す。
 しまいには彼女の細い腰を持ち上げ、ぐるぐると振り回しまでした。

「やった……! ははっ、本当に、俺の妻になってくれるんだな!?」
「……そこまで喜ばれたら、どうしようもないじゃありませんか。……ぷっ」
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