復讐は恋を妨げる
第一話 全て奪われた


〇結婚式・披露宴会場

上条家の披露宴が行われている。
高砂席に座る、タキシードを着た司とウエディングドレスを着た美香。
披露宴会場の入り口で立ち尽くす結奈。

結奈「どうして……司の隣は私のはずなのに……」

披露宴会場の入り口にたち、放心状態の結奈。
高砂席で談笑している司、美香。
結奈に気づいた美香、同僚と話している司に気づかれないように席を外す。
 
入り口の結奈のもとまでくる美香。
 
美香「先輩、目が覚めちゃったんですか?」
結奈「どういうことなの!? どうしてあの席にあなたが座っているの?」
美香「眠り姫になっちゃった先輩が悪いんですよ? 夢の中にいる間に……あの席も、このドレスも、司さんも、もらっちゃいました」

美香、不敵な笑みを浮かべる。
現実が受け止められずに固まる結奈。
結奈(これは現実!? 私の記憶では昨日まで、司と仲良く結婚式の計画を立てていたはずなのに……)

披露宴の引きの絵。


〇回想シーン(結婚式の2か月前)

結奈と司が住むマンション。同棲中。
身体を寄せ合い、仲つづまじい様子。
 
結奈「ねえ、こっちのドレスにすればよかったかな?」
司「また変更したら担当さん泣かせだよ?」
結奈「そうだよね……でも考えてるうちに、こっちもいいなって。だって一生に一度の結婚式だから」
司「そらそうだ。一生に一度出なきゃ困るよ。二度あったら、俺ではない違う男と結婚式をあげるってことだからな」
結奈「ないよ! 私は司だから結婚したいんだもん」

おでこをくっつけて笑顔を浮かべる二人の絵。


 
〇回想シーン・結婚式会場からの帰り道・打合せ帰り(街中)
 
鼻歌を歌いながら歩く結奈。
結奈(ドレス決まって良かったー。早く司に見せたいなあー。司との結婚式。本当に楽しみ……)

キーーっ(ブレイキ音)
びいーー(クラクション音)

振り返り驚く結奈。
(車に衝突する)


〇病院・結奈の入院する部屋

目を閉じ、様々な機械に繋がれている結奈。
ベッドを取り囲む司、結奈母、主治医。

司「結奈は……もうっ、目を覚まさないんですか? これから結婚して、幸せな未来が待ってるはずだったのに……」
先生「目を覚ますか、このままの状態化は、今の現状ではお答えできません」
結奈母「そんな……」
司「結奈あー」

泣き叫ぶ司。結奈母、結奈父、支え合い泣いている。

病室の廊下から植木鉢を持ちほくそ笑む美香。
持っている花は白いヒナゲシ(花言葉:忘却・眠り)

 

〇回想シーン・結婚式当日・病院

病室。
ベッドに寝ている結奈。閉じていた瞼がゆっくり開く。

結奈「……いっ、痛っ」

結奈、目を覚ます・
そばにいた結奈母、突然目を覚ました結奈を見て慌てる。
 
結奈母「結奈! 良かった……」
結奈「私はなんでここに」

状況が読み込めない結奈。
母、涙目で説明する。
 
結奈母「結奈は歩道に乗り上げてきた車にひかれて、ずっと意識がなかったのよ」

涙を潤ませる結奈母。

結奈(車にひかれた……記憶の破片が疼く気がする)
事故の様子を思い出す結奈。

結奈「あっ、司は? そうだ。今日は何月何日なの?」
結奈母「……」

気まずそうな表情を浮かべる結奈母。
結奈の質問に答えることができない。

結奈「ねえ、お母さん!」
結奈母「……先生。先生を呼んでくるから。そのあとに……しっかり説明するからね」

気まずそうに言い残して病室を後にする結奈母。
納得がいかない様子の結奈。

結奈(今日が何日なのかくらい教えてくれても……結婚式の打ち合わせとか予定がうまってるのに)

結婚式の打ち合わせの予定がたくさんあったので、気になる結奈。
結奈、身体を無理やり起こして、ベッドわきの収納を探る。

結奈「あった。私のスマホ」

スマホを手に取り固まる結奈。
スマホに表示された日付を見て驚く。

結奈「えっ! 結婚式今日じゃん! どうしよう。キャンセルになったのかな」

動揺しながら、司に電話をする結奈。
何度もかけるも一向につながらない。

結奈「もう……司につながらない」
 
仕方がないので、結婚式場に電話をする結奈。

受付「ウエディング東京でございます」
結奈「えっと、あの。上条ですが、担当の小林さんお願いします」
受付「小林は今応対中です」
結奈「えっと……上条家の結婚式って延期ですよね?」
受付「上条様は……本日13時より、披露宴となっております」
結奈「は?」

スマホを持ったまま固まる結奈。
結奈(延期になってないってどういうこと!?)

(回想終了)

〇元の現代へ・結婚式会場

ぽつんと立ち尽くす結奈に勝ち誇った笑みで視線を送る美香。
高砂の席へと戻っていく。

結奈の背後に現れる人影。(上条岬)
上条岬:司の弟
洒落たスーツ姿。

岬「最低だよなー。眠ってる婚約者捨てて、若い女に乗り換えなんて」
結奈「……」
岬「こんな屈辱ってないよな?」
結奈「なんなんですか?」
心底いやそうな表情を向ける結奈。
岬「なあ、あいつらにも屈辱を味合わせてみない?」
結奈「はあ?」
岬「復讐すんだよ……あんな最低な奴らに」

結奈(復讐――!?)

突然現れて、怪しげな雰囲気の岬。(怪しさを持たせる)


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