腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
めぐるの疑問符


豪邸の前でいつものようにインターホンを鳴らす。
あれから約一週間ぶりに来るけど、隼瀬君は元気にしていただろうか。

少しの時間大人しく待っていると、ふいに重たい鉄の扉がゆっくりと開かれた。



「あ、隼瀬君」


「本当に来たんだな、お前」


「だから来るって何度も言ったじゃん…」



隼瀬君は呆れたような物言いをしているものの、表情は明るく喜んでいるのが見てわかる。

相変わらず素直じゃないんだから。


「まぁいいや……とりあえず中に入れて頂けるととても嬉しいかなー、立ち話もなんだし」


「元からその予定だ。お前に見せたい物もあるし」


見せたい物?なんだろう。

まるで隼瀬君はサプライズをする子供のように上機嫌で鉄の扉を再び開けた。

中に入る前に念の為バッと背後を確認してみたが、今日は誰も居ないみたいだ。

いつ監視されてるかわかったものじゃないから、警戒するに越したことはない。


入念に確認していると、扉の向こうから「早く来いよ」と隼瀬君に急かされたので、慌てて中に入って行った。

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