腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「佐原君はさぁ」
「あん?」
「もし……自分が間接的に関わった事で他人が不幸になるかもしれないってなった時……ど、どうする……?」
「はぁ?」
濁しすぎてかなり抽象的な表現になってしまった。
怪訝そうに私を見つめるも、彼なりに解釈しようとしてくれてるのか、少し悩む素振りを見せた。
「何が言いたいか分かんないけど、まぁそう言うこともあるよな」
「え?」
「例えばさぁ、世界中の皆が喉から手が出る程欲しいとされるプレミアゲームがあったとするだろ、それも数個限定のな」
「プ、プレミアゲーム……」
「そう。んで、そのゲームを俺が一つ何らかの方法でゲット出来たとする。そうすると、俺が手に入れたせいで、手に入らなくなった人間が必ず出てくるよな?」
「……そうだね」
「でも、手に入らなくなった奴の事なんて誰も気にしないだろ。つまり、そーゆーこと」
フフンと得意気に話す佐原君だけど、正直あまり納得いってない。
ゲームの話と倉木さんの話は全く違う。
責任も罪の重さも、全く違うんだから。