お嬢様は今日も美しい
最後は、国王陛下が土下座まがいのことをして成約されたものであるらしいのですが、よろしいのですか?
苦労をして、再三懇願してやっともぎ取った婚約を勝手に破棄してもよろしいのですか?
ローシャス公爵家のご令嬢ならば致し方ないと側妃様の侯爵家も後継者争いから手を引いたという経緯をご存じないのでしょうか。
男爵令嬢の口元が綻び、勝ち誇ったような瞳がお嬢様を捉える。
運よく王太子と結ばれても王太子妃になれるとは限らないのに、大丈夫なんでしょうかね。
男爵家では王太子の後ろ盾にはなれない。そう甘いものではないのに、これからいばらの道が待っているかもしれないのに。
まあ、こちらは、誰が王太子になろうと国王になろうと関心はほとんどありませんけど。
「何を勝手なことを言っているんだ」
不意に男性の声が聞こえた。
役者がまた一人増えたようです。