お嬢様は今日も美しい
声の主はルーカス第一王子殿下。
半年早く生まれた殿下と王太子は同い年である。
艶のある栗色の髪、琥珀色の瞳。野性味を帯びた精悍な顔立ちに鍛えられた体躯。剣が趣味だとおっしゃっていたので、日頃から鍛えていらっしゃるのでしょう。
周りの女生徒たちが色めき立つ気配がした。殿下はモテる。婚約者もいらっしゃらないので余計に。
「邪魔をするな。お前には関係ないだろう」
割って入ってきた殿下を見るなり、王太子は顔を顰める。
「そうもいかないだろう。婚約破棄などと言われては放っておくわけにはいかない。俺も王族の一人として居合わせた者としてな」
まずい奴に見つかったとばかりにますます顔を顰める王太子。
「王太子としての俺の問題だ。口出しはやめてもらおう」
「それはそうだな。婚約も婚約破棄もお前の問題だ。だが、学園でのいじめに関しては生徒会長として看過できないな。そのようなことが起こっていたのであれば、徹底的に調査をして再発防止に努めなければいけない」
婚約破棄について物申すのかと思っていましたが、いじめのほうですか。
殿下って、正義感が強かったのですね。
殿下の言葉にざわざわと周りが騒がしくなってきました。