お嬢様は今日も美しい
「コレット?」
お嬢様は首を傾げる。
「そうだ。ここにいるコレット・ラウザード男爵令嬢だ。彼女が涙ながらに訴えたのだ。お前にいじめられているとな。教科書を破いたり、ダンスの授業で使うドレスをぼろぼろにされて、制服で出席せざるを得なかったり。ほかにも酷いことを多々やっていたようだな」
「そのようなことをわたくしがやったと?」
「おまえしかないだろう。他に誰がそんなことをするというのだ。とぼけるのは無しにしろ。今、謝罪すれば許してやらんこともない」
「身に覚えのないことで謝罪などできませんわ。それにこのお方がコレット様だったのですね。初めて知りました」
学園内でも姿は見かけても別段興味もなくお過ごしでしたから、名前を知ろうとは思ってもいなかったのでしょうね。彼女のことが話題にのぼることはなかったですし。
「可愛らしいお方ですわね」
男爵令嬢に目を向けるお嬢様。なぜだか、ポッと頬を染める男爵令嬢。気持ちはわかります。美しいお嬢様に褒められて悪い気はしないでしょう。
「はあ? ふざけるな。嘘をつくんじゃない。初めからから知っているくせに。だから、嫌がらせをしていたんだろう。コレットに嫉妬して」
「……⁇」
少し、ほんの少し眉を顰めるお嬢様。