両手から溢れる愛を
「じゃ、帰ろうぜ」
広げた傘を自然と手に取った三島に、きっと他意はなかったのだろう。
だって2人で一つの傘を使うのなら、身長が高い方が持つのが自然の流れだから。
「え?」
でも私にとってそれは想定外の出来事で。
「え?」
「え、入るの?」
「え、入っちゃダメなの?」
ぱちりと目を瞬かせた私と、同じように目を丸くした三島。
「えぇ〜もしかして俺置いて1人で帰る気だった? ひっでぇ〜」
「いや、そんなことは……ないけど」
傘を閉じながらわざとらしいくらい悲しんでますと顔に出す三島に、大袈裟すぎと呆れることもできなかった。
だって、本当にそんなつもりはなかった。
私の頭の中にあったのは雨に濡れずに帰れることへの喜びと、ないと思っていたものが見つかった時の興奮だけだったから。
それなのに三島の思わぬ行動で、傘を見つけた時には行きつかなかった思考が、あるひとつのことにしっかりと結びついてしまって。
──これ、相合傘じゃん。
瞬間、ぶわっと顔が熱くなった。気がする。