秘密のバイトの行く末は…愛され彼女!?【完】

第三話

恵茉がイラついてるね…はぁ…どうしようかな…

「茉里、何のため息だ?」

ぁぁ…あわわわわわっ…

「隣に座っただけで仰け反られたら、俺ショックで学園で口滑らすかも」
「やっ…ここのことは言わ…」
「俺は茉里を好きだ、ってな」

ぇ……言わないで、とシャワー直後の桐斗さんの何も着てない(下は履いてる)腕にしがみついたまま、私は固まった。

「どぉ…ゆ…こと…」
「こういうこと」

っん…合わさった唇の角度が変わるたび、彼の濡れた髪が私の額と頬を撫でる。

「茉里のドキドキを俺の腕で感じてる」

ひゃ~~っ…無意識に彼の腕を自分の胸に抱いていた私は体温が上がり、全身が真っ赤になったことを感じた。

「俺の彼女になって、バイトじゃなく一緒に住めばいい」
「………そんなこと…」

無理でしょ、ダメでしょ…

「好きなら普通のこと。茉里も俺のこと好き…だろ?」

そりゃ、毎日毎日、偉そうな口調でも優しく抱きしめられて安心してるうちに…好きだけど…

「ふつーでは…なくない?」
「それは先生と生徒ってことか?」

コクン…

「それは社会生活の中での名称。もっと素のところで…ただの人間レベルで惹かれるのは普通」

きっぱり言い切った桐斗さんと目が合うと、彼は小さく首をかしげて

「ん?いいだろ、茉里?」

と甘く私の名前を呼んだ。ああ…はい、好きです。けど…

「桐斗さん…」
「ん?」
「…好き…だけど…ここにいるのも嬉しいけど…恵茉が、なんで帰って来ないとかどこにいるとか、言い始めてる…帰らないといけないのかなって」
「それがさっきのため息のワケか?」
「そう」
「心配ない。俺に任せろ、茉里」
< 16 / 43 >

この作品をシェア

pagetop