秘密のバイトの行く末は…愛され彼女!?【完】

第四話

ぐったりとした茉里を左肩に担ぎ、右手でスマホを持って姉の最後のあがきを記録する。

これまで茉里は“お姉ちゃんはこんなもの”と受け入れていたようだが、話を聞いているとこの姉はずっとチクチクと茉里を攻撃していた。

例えば、学校帰りにアイスを買って来いと茉里にメッセージを入れる。だいたいの授業終了時刻を見計らって送られてくるメッセージだが、茉里にも友人との約束があると“ごめん、無理”と返信する。すると鬼電が来る。

また例えば、なんでも“茉里はいいわね。まだ小学生だもの”“茉里はいいわね。◯◯買ってもらって”と“茉里はいいわね”と言って不機嫌になる。その後ろにつくのは、当たり前のどうしようもないこと。年齢のことや、買ってもらうのも当然のバースデープレゼントなどでもちろん姉も買ってもらっている。

「一応聞くが…この女は茉里の部屋で男二人を相手したって?じゃあ、オネエサンは仲間ハズレだったから俺を誘うようなこと言ったってこと…ですか?」

スマホを構えず、さり気なく持って録音だけしているので丁寧に話しておく。

「仲間ハズレなはずないでしょ?ここは私の家よっ」
「へぇ…同じく茉里のベッドを使ったんですか?」
「先生〜恵茉ちゃんはベッド以外がいいんだよ」
「オレは今朝、恵茉と風呂でヤッた」

キモっ…もう十分だ。茉里の頭に血が上るな。俺はスマホを見せるように録音をオフにしてポケットに入れると、茉里を両腕で抱き直して部屋を出た。

「イケメンのお姫様抱っこ…って…あれ、誰?」

全裸の女の声が小さくなった階段で

「茉里、頑張ったな。あんな姉とは決別だ。茉里が穢れる」

考えることを放棄して目を閉じる彼女の唇に軽く口づけた。
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