病んだ心をつまびいて


「早瀬と皆本」

「……」

「また、あいつらか」




感情の無いトーンでつぶやく新山くん。


凝視していたのは、ふたりの背中だったのだ。



その黒目が、私に向く。





「あとで教えろ」

「……っ」

「頬へのキス、突き飛ばした背中」

「……」

「あいつらが触れた場所、すべて教えろ」





すくいあげるように私の喉に手がかけられる。


教えなければ……きっとこの喉はつぶされる。





「……わかった」



うなずいた私に、新山くんはようやく微笑んでくれて、「戻るぞ」と背を向けた。


私の手首だけは、がっしりと掴んだまま。




ただ、あのふたりにされたことを言うだけ。


それだけなのに、新山くんはなにをするとも言っていないのに。


ものすごくイヤな胸騒ぎに襲われた。




「新山くん、私、大丈夫だからね」

「……」

「あのふたりには、なにも、しないで……」

「……」




広い背中に訴える。

無言で歩き続ける新山くん。



その刹那



「いっ……!」



骨が軋むほど、手首を握り締められた。




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