病んだ心をつまびいて
すると、早瀬にとつぜん頬を包まれ、近づいたくちびるを避けることができなかった。
「ん、ぅ……っ?!」
キスを、されている。
頬ではなく、口に。
すかさず背中に腕をまわされて、ぎゅうううと抱き込まれ、10秒くらいくちびるを合わせられた。
いや、やだ、やだやだ
やめて、たすけて、新山くん──
「平石やばいな……えろいしかわいいし、なんで新山の女なんかやってんの?」
吐息とともに囁いてから、解放してくれる。
まばたきがいらないくらい涙の粒をこぼす私を、早瀬はにんまり見下ろしながら
「俺のこと叩いて?フラれてパンツの色聞けなかったってことにするから」
言われなくても、一発殴る気だった。
パンッ!と早瀬の頬を張る。
「へへ、キョーレツだな」
うれしそうに気持ち悪い笑みをこぼしてから、早瀬はカーテンから出ていく。
「わりーダメだった〜。おもいっきり叩かれたんですけど〜マジ痛ぇ〜」
ヘラヘラとした早瀬の声。
私はしばらくカーテンの中で動けなかった。