病んだ心をつまびいて
どうやって歩いたのかも定かでないままトイレの個室に入ると、お昼に食べたものをぜんぶ戻した。
涙、胃液、吐瀉物。
ドロドロになりながら、ひとつだけ頭に生まれる。
──家に帰ったら、死のう。
進路も、誕生日も、恋も
なにもかもどうでもいい。
とにかくもうこんな日々うんざりだった。
楽になりたくてたまらなかった。
トイレから出て、誰もいない教室に戻って、机に突っ伏す。
最後に秋道さんの曲を聴きながら、私は解放されるんだ。
大好きな歌を口ずさむ。
もうすこし、もうすこし。
あと数時間経てば、考えることをやめられる。
吐き気がするほどの愛からも逃れられる。
「………仁奈、新山くん、お母さん」