病んだ心をつまびいて
アズマさんが離れていく気配。
目を開けると、おかしそうに肩を震わせるその人。
まって、まって、いま私、めちゃくちゃのんきにお腹鳴らしたよね?元気すぎない???
ようやくおとずれた感情は、情けなくも羞恥の類だった。
「ふふ……ほんと、茜ちゃんはマイペースというか……」
「す、みませ……」
「かわいくて困るなぁ。はやく僕だけのお嫁さんにしないと、心配でどうにかなっちゃいそう」
ぼやけた意識では、アズマさんの言葉の意味を咀嚼しきれなかった。
「起き上がれるかな?」
「は、い……」
背中を支えられながらゆっくり起き上がる。
グワングワンと脳が揺れた。
う……しんど。
「キッチン借りたよ。おかゆ作ったんだ。すこしでいいから食べようね」
フーフーと息を吹きかけ、私にスプーンを差しだすアズマさん。
とくに思考を働かせないまま口にふくみ、飲み込む。
「おいしい、です」
「ほんと?よかった」
「お母さん、いつも家にいないので……自分で作ってるんです、ごはん。だから、新鮮……」
シンプルに感動した。
誰かがこうして私のためにごはんを作ってくれるなんて。
温かくて、たしかに愛を感じる味。
「ひさしぶりだ……ひとのつくった、ごはん」