病んだ心をつまびいて


頭に浮かぶのは、新山くんと仁奈の顔だった。



新山くんは私の気持ちを信じていてくれる。
しかし、この動画を彼が見たらどうだろう。
私が注いだ好意の言動が、すべて反転して映るに決まってる。



仁奈だって同じだ。
不誠実を許せない私の性格を誰よりも知ってくれているのに、まるでこれまでが嘘だと見せつけているみたいじゃないか。




「教室入んならギリギリのほうがいーぜ。俺も一緒に行ってやるから」

「いいよ、ひとりで入る」

「どうせ同じクラスなんだからいいだろ?」




なんで早瀬がそこまでするの?


頭ひとつぶん上にある顔をのぞきこめば、ふっと視界が暗くなって


「や、めてよっ」


またキスをされた。
逃げれば壁に押しつけられ、繰り返し口を塞いでくる。
全然こっちのことなんて考えてくれないから息が乱れる。


なにもしないって言ったのに。
うそつき。




「なぁ、平石」

「はぁっ、な、なに」

「この動画見たときの新山、どんな顔してたとおもう?」




聞きたくなかった。


会いたくない。

新山くんに、会えない。



「私のことなんか……幻滅、してるよ」



ポロッと涙がこぼれた。
あの悪魔のせいで最近泣いてばかり。



< 281 / 283 >

この作品をシェア

pagetop