病んだ心をつまびいて
「っ!!」
背筋に冷たいものが走る。
ごまかしようのない、恐怖。
「あ?なんで新山がいるんだよ」
早瀬が睨みつける。
が、新山くんは黒目を一瞬向けただけで、すぐに私へと戻してしまう。
無表情のまま一言も発することなく、私のことだけを凝視する。
怖くてあとずされば、そのぶん一歩近づいてくる。
今は……今だけは会いたくなかった。
うしろめたさも、華凛とのキスも、まだ消化しきれてないのに。
「はぁ……大好きな平石が他の男と一緒にいるのが気に食わねぇのは分かるけど、ちょっとくらい時間やれよ。どいつもこいつも平石にいろいろ求めすぎ」
「……」
「つーかおまえさ、平石がボロクソ言われても、華凛のやつにキスなんかされても、アホみたいに無反応だったけど、なんのつもり?」
「……」
「ここで平石が俺のモンになっちゃっても、おまえはなんも言わずにそのまま見てるだけなんだな?はは、だっせぇ。自分の女ぜんぜん守れてねーじゃん」
煽りまくる早瀬が私の肩に腕をまわしてくる。
止めなきゃいけない、のに。
私が抑え込んでいた嫉妬や悲しみの根源をあまりにもピンポイントで揺さぶってくるから、口を開くとまた泣いてしまいそうになる。
こいつは私と新山くんをオモチャにして楽しんでるだけ。
味方なんかじゃない。
分かってるのに、この手は、早瀬の方へ伸びていく。