病んだ心をつまびいて
「っ、はや、せ」
慌てて早瀬の腕から抜け出す。
そして新山くんの隣に立ち、無理矢理に頬を吊り上げた。
「今日は本当にありがとうっ。もう大丈夫!今度埋め合わせさせて!」
「は?でも……」
「私はいまから愛する新山くんと帰るので!早瀬も気をつけて帰ってね!ほら行こっ、新山くん〜♡」
新山くんとがっしり腕を組み、いそいそと歩き出す。
背後からは呼び止める声がしたけど、けっして振り向いてはいけない。
ひとつ選択を間違えれば、早瀬の命などたやすくひねり潰されてしまう。
もう異常でしかなかった。
大好きな人をまるで化け物のように扱い、気を逆撫でることがないよう顔色をうかがう現実は、狂っていた。
私は新山くんのことが好き、好き。
狂っていても、好き。
唱えないと、私が狂いそうになる。
今できることは、あの悪魔が私を諦めてくれるまで、この人に恋をし続けること。
大丈夫、大丈夫。
平石 茜は新山くんのことが好き。
そうでしょ。
そうなんだよ。