病んだ心をつまびいて
「いやっ……!」
反射的に顔をそらし、胸板を押していた。
いけない。
流される前に、私たちは話し合うべきことがあるんだ。
動画のこと、華凛のこと、お互いの関係性。
それに、それに
華凛とキスをしたそのくちびるで、同じことをされたくなかった。
アズマさんや秋道さんとキスをした自分を棚に上げて、卑しい思考だってことはわかってる。
わかってはいても、無理だった。
「ごめんなさい、できない……っ、新山くんと、キス、したくない」
「……」
「早瀬の言うとおりなの。もう少しだけ時間が欲しい……っ。気持ち整理して、落ち着いたら、新山くんと話したい……」
「……」
「だからしばらく、私のことは……」
言葉は続けられなかった。
わしづかまれた両肩。
それが、カーペットの上に叩きつけられる。
「っあ……!」
勢いよく押し倒された衝撃と激痛で顔が歪む。
しかし、眼前に迫る光景に、呼吸が一拍止まった、
「おまえ、殺してやろうか?」
不気味なほど温度の抜け落ちた新山くんの顔が、私を見下ろしていたのだ。
「俺の前で……他の男の名前を出すんじゃねぇよ!!!」
歯がぶつかり、痺れるほど乱暴なキスが降ってくる。
掻き回される口内。
逃げる舌を無理やり絡め取られた。
溢れるお互いの唾液が顎を伝い。
それすら飲みきらないと、鋭い牙でくちびるを傷つけてくる。
粘膜が乾くひまもないほどの凶暴な交わり。
情熱と狂気に圧倒され、呼吸がままならない。
「に、やま、く、やめて、ごめんな、さ」
「殺す……!!……死ね……死ね……!!」
血走るふたつの目。
私を殺すような眼光に、おぞましい愛が滲んでいた。