病んだ心をつまびいて
空が暗くなった頃
そっと、ぬくもりが離れていく。
ふたつのくちびるの間に透明な糸が引かれ、お互いをまだ結んでいる。
新山くんは優しい顔をしていた。
あんなに怖かったのに、よくやく人間らしい温度を取り戻してくれたみたい。
ちゅ、ちゅと、軽く奪われるけど、ぐったりと疲労感で動けない私は抵抗できなかった。
「……いいこだ」
物のように掴まれていた前髪はやわらかく梳かれ、その手のひらは頬をすべり包み込む。
「平石……」
うっとりと。
とろけた目で見つめられる。
私を宝物みたいに甘やかす。
なんて恐ろしいのだろう。
今までで一番やわらかくその網膜に映してくれたのが、殺すほどのキスを終えたあとの姿だなんて。
「にいやま、くん」
「好きだ」
「にいやまくん」
「俺のせいで苦しんでるおまえが、いちばんかわいい」
「……」
「俺が手放してやれば、平石はきっと自由になれる」
「……」
「でも残念。悪いけど、もう二度と放さねぇから」
しっとり、誓うようなキス。
「だっておまえは
──これから俺と死ぬんだ」