病んだ心をつまびいて
「んっ、んんぅ、ぁ゛、んん゛」
包丁を置き、空いた右手で首を絞められた。
「浮気者」
煮えたぎる怒りと衝動を孕んだ声。
ちょうど尾骨のあたりに、新山くんの硬くなった欲がグリグリと押しつけられた。
絶望と苦しみの最中にいる私の姿に興奮しきっている新山くん。
狂気と性愛が入り交じり、荒い吐息が私のうなじにかかる。
「クソ旦那と、アキミチは……まァ、どーでもいい。早瀬の野郎にはなにをされた」
「ぎ、ぎず……ぅあ゛」
「あ?聞こえねぇよ」
「……ぎ、キス、されまし、だ……」
「はは!そりゃよかった。……早瀬をズタズタにする口実ができたよ。平石が俺と死んだなんて聞いたら、あいつ、どんな顔するかな?」
楽しそうな笑い声をあげながら、ゆったりと腰を動かし、昂りを擦りつけられた。
くちびるだけでなく全身まるごと私を食い散らかしたいと、背後の生々しい欲が訴えかけてくる。
背筋が感じたことのない甘美に震えた。
本能からの求愛に慄いてしまう。
「今ここで抱き潰してから死ぬか、アッチにいって2人きりの世界で消えるまで愛し合うか……どっちにする?なぁ、平石……」
「ひっ、ぅう゛……ぅあ゛……」
「かわいいなぁ、おまえ。泣いても叫んでもかわいいだけだから、もう逃げようだなんておもうなよ」
涙も唾液も垂れ流したままの顔面を、分厚い舌が水音を立てて味わい尽くす。
まるで獣になったみたいだった。
人間の理性を捨て、本能だけでまぐわいに等しい触れ合い。