冷たい夜に、愛が降る
また会いたい、そう思っていた。
でもまさか、こんなタイミングで会うなんて。
どうして……御田菫くんが、ここにいるの。
「あ?お前誰だよ」
「ちょ、やめてっ」
目の前のマスク姿の彼に、一歩近づいた男の腕を掴んでに、とっさに言う。
「なに、恋白ちゃん、この男、知り合い?」
「……えっ……いや……」
知り合いなんて言ってしまったら、迷惑をかけてしまう。
「なんだ。じゃあカンケーねぇじゃん。行こうぜ」
男の人がそう言って私の腕を掴み直した瞬間。
「その子のこと離さないと、警察呼ぶけど」
「はぁ?!」
と男の人たちが声を荒げると、御田くんはおもむろにスマホ画面をこちらに見せるように掲げた。
画面には、110の数字が並んでいて、ボタンをタップすれば、すぐに通報できる状況。
「やましいことしてないんなら、そこにいなよ」
大人の男ふたりを相手でも、冷静な御田くん。
「チッ、くっそガキ。覚えとけよ」
「行くぞ」
ものすごく怒りを含んだ顔をしたふたりは、御田くんを睨みつけ、振り返って、あっという間に来た道を戻って行った。
その背中が小さくなって行くのを確認して、ホッと胸を撫で下ろした瞬間。
「香山さんっ!」
一気に足の力が抜けて、その場にしゃがみ込みそうになったけれど、すぐに御田くんが駆け寄って身体を支えてくれた。
ダサい……。
もうどうにでもなれって思ってたくせに。
たったあの数分で、こんな風になってしまうなんて。
かっこ悪い……。