冷たい夜に、愛が降る
『ちょっと付き合って』
車の中で、御田くんにそう言われ、お互い沈黙のまま、車が15分ほど走って止まったのは、大通りから離れた静かな場所だった。
辺りには街灯以外、ほとんど明かりがなく。
車が停止したのは、その中で唯一控えめに灯っていた『カプセル』とおしゃれなフォントデザインの看板ライトが光るお店の前。
その店内に入ってすぐ、一番奥のソファ席に、私と御田くんは座った。
お客さんは他には誰もいない。
……さっき、お店の扉には《CLOSED》というプレートが下がっていたけれど。
御田くんが芸能人だから、特別ってことなのかな?
店内は、柔らかい照明の落ち着く雰囲気。
カウンターには、30代ぐらいの男性が1人。
金子さんは、私たちが車を降りると、用が済んだら連絡して、と御田くんに伝えて行ってしまった。
何がどうなっているのか、全然わからない。
いきなりのことで、ただただ御田くんに言われるがまま着いてきてしまったけど。
「あの……御田くん」
「香山さん、ご飯食べた?」
「えっ……」
「俺まだだから食うけど。何か食べたいものあったら選んで。飲み物とか。好きなもの」
そう言った御田くんは、私にメニューを差し出してきた。