冷たい夜に、愛が降る
「雇うって……何言って……」
「そのままの意味。俺のプライベート、香山さんに支えて欲しい。俺はそれにちゃんと対価を支払う。どう?」
「どうって……」
冗談?
何を言っているのか、全然わからないよ。
御田くんのプライベートを支えるって……。
「お待たせしました。ナポリタンとオムライス、クリームソーダになります……それから、香山さんって言ったかな?俺からも、お願いしたいな」
「えっ……」
席を立つ私と、ソファに座ったままの御田くんの間に、お店のマスターが注文した料理を運んできてくれたと思ったら、なぜか、マスターがこちらを見つめていた。
な、なんで、マスターが……。
「その人、いとこの、修」
「あ、いとこ……ですか」
そう言われれば、マスターの修さんも、すこぶる顔が整っている。
「菫、小さい頃からあんまり食に興味ないタイプなんだよ。だから、仕事忙しくなってからは特に、疎かにしがちだから心配で」
今までは、修さんが時々ご飯を作ってあげたりしていたけれど、来月には修さんの子供が生まれる予定で、余裕がないんだとか。
「いや、急にそんなこと言われましても……そもそも、なんで、私なのか……プロの家政婦さんとかいるわけですし……」
「香山さんに、胃袋掴まれたからっていうのは、理由にならない?」
「い、胃袋って……」
不覚にも、ドキッとしてしまう私は単純かな。
いや、今、全国の女性から圧倒的な支持を得ている彼からそんなことを言われたら、誰だって、胸の一つや二つ高鳴ってしまうだろう。


