繊細な早坂さんは楽しむことを知らない
スイッチが入ると、奈江は息を飲むようにして、明かりを灯すランプを見つめた。淡いオレンジの黄昏色は、ふんわりと優しい色味。見るものの心を穏やかにするような。このランプは、いろんな人の手を渡りながら、その人たちの心を癒してきたのだろう。そんな歴史まで感じられる。
しばらくじっと見つめていた奈江だが、視線を感じて目をずらす。黄昏色の奥で、こちらを見つめる青年と目が合う。
奈江は人と目を合わせるのが得意ではない。どきりとして、あわてて目をそらす。
「これも、フランスまで行って買い付けてきたんですか?」
沈黙を裂くように尋ねた。
「そうだよ。最後の買い付けで出会ったんだ」
神妙な口調で、彼はそう言う。
店主の吉沢が買い付けた最後の作品だとしたら、とても大切なものではないだろうか。
しかし、これだけは売ってもいい、と青年は言った。もしかしたら、店主が買い付けた作品ではないのかもしれない。だとしたら、考えられるのはひとりだけだ。
「あのー、こちらに吉沢遥希さんって息子さんがいらっしゃいましたよね。息子さんは買い付けはやらないんですか?」
気になって尋ねてみると、青年は意外そうに眉をあげる。
「遥希を知ってるんだ?」
「はい。最近はずっとお会いしてないんですけど。遥希さん、お元気ですか?」
「そうか。知らされてないんだね。残念だけど、遥希は亡くなったよ」
そう言うと、彼は小さく息をついた。
しばらくじっと見つめていた奈江だが、視線を感じて目をずらす。黄昏色の奥で、こちらを見つめる青年と目が合う。
奈江は人と目を合わせるのが得意ではない。どきりとして、あわてて目をそらす。
「これも、フランスまで行って買い付けてきたんですか?」
沈黙を裂くように尋ねた。
「そうだよ。最後の買い付けで出会ったんだ」
神妙な口調で、彼はそう言う。
店主の吉沢が買い付けた最後の作品だとしたら、とても大切なものではないだろうか。
しかし、これだけは売ってもいい、と青年は言った。もしかしたら、店主が買い付けた作品ではないのかもしれない。だとしたら、考えられるのはひとりだけだ。
「あのー、こちらに吉沢遥希さんって息子さんがいらっしゃいましたよね。息子さんは買い付けはやらないんですか?」
気になって尋ねてみると、青年は意外そうに眉をあげる。
「遥希を知ってるんだ?」
「はい。最近はずっとお会いしてないんですけど。遥希さん、お元気ですか?」
「そうか。知らされてないんだね。残念だけど、遥希は亡くなったよ」
そう言うと、彼は小さく息をついた。