繊細な早坂さんは楽しむことを知らない
「形見の指輪はあきらめきれないんですね。わかりました。僕が探してみます。毎日、ここに来るし」
遥希はそう申し出た。おじさんの事情に共感したというより、単純に御守りの行方が気になったのだろう。
「いや、それは悪いよ」
おじさんは少しあわてた。
「私も探す」
奈江が言うと、遥希は力強くうなずいて、シェードと一緒に橋を西へ向かって歩いていった。
「この辺りですよね? 事故があったの」
橋の入り口に立ち、くるりと振り返った遥希は、地面を指差しながらそう言う。
「よく知ってるね」
「昔から、ここは事故が起こりやすいって言われてるから」
遥希のもとへおじさんは駆けつけると、手振り身振りで、当時の事故の状況を語った。
小学3年生の息子さんは、大野小学校から宮原神社近くの自宅へ一人で帰る途中、西からやってきた自動車に轢かれそうになったのだという。
橋の西側は信号のない交差点になっているが、角にある住宅の敷地が道路に張り出していて見通しが悪く、停止せずに交差点に侵入する自動車による事故が起きるのだと、遥希は言った。町内でもなんとかして欲しいという強い要望があり、今春には区画整理が決まった。息子さんの交通事故は、そんな矢先の出来事だった。
「御守りは紺色でしたよね?」
遥希が問うと、宮原神社で再度授かった、失くしたものと同じ御守りを、おじさんはポケットから取り出して見せてくれた。指輪を入れるには十分なサイズのある立派な御守りだった。
遥希はそう申し出た。おじさんの事情に共感したというより、単純に御守りの行方が気になったのだろう。
「いや、それは悪いよ」
おじさんは少しあわてた。
「私も探す」
奈江が言うと、遥希は力強くうなずいて、シェードと一緒に橋を西へ向かって歩いていった。
「この辺りですよね? 事故があったの」
橋の入り口に立ち、くるりと振り返った遥希は、地面を指差しながらそう言う。
「よく知ってるね」
「昔から、ここは事故が起こりやすいって言われてるから」
遥希のもとへおじさんは駆けつけると、手振り身振りで、当時の事故の状況を語った。
小学3年生の息子さんは、大野小学校から宮原神社近くの自宅へ一人で帰る途中、西からやってきた自動車に轢かれそうになったのだという。
橋の西側は信号のない交差点になっているが、角にある住宅の敷地が道路に張り出していて見通しが悪く、停止せずに交差点に侵入する自動車による事故が起きるのだと、遥希は言った。町内でもなんとかして欲しいという強い要望があり、今春には区画整理が決まった。息子さんの交通事故は、そんな矢先の出来事だった。
「御守りは紺色でしたよね?」
遥希が問うと、宮原神社で再度授かった、失くしたものと同じ御守りを、おじさんはポケットから取り出して見せてくれた。指輪を入れるには十分なサイズのある立派な御守りだった。