繊細な早坂さんは楽しむことを知らない
「ああ、かまわんよ」
奈江は秋也に、すぐ戻りますね、と伝えると、みね子のもとへと足早に向かう。
みね子のいる部屋は仏間だった。窓際に立派な仏壇が見えている。
「いま帰ってきたところで、なんにもなくて悪いね。娘も買い物に出かけてるみたいでね」
「全然、大丈夫です。朝、収穫したナスとししとうです。よかったら、召し上がってください」
もてなしができなくてと、申し訳なさそうな顔をするみね子に紙袋を差し出す。すると、みね子は手に握りしめていた何かを、仏壇の前にある経机の上に置く。
何気にその所作を眺めていた奈江は、ほんの少し、息を飲んで振り返った。門の前からこちらをのぞいている秋也が、思いの外、遠くて、首を傾げる彼に首を振って見せる。
「ありがとうねぇ」
手から紙袋が離れて、奈江はふたたび、みね子へと目を向ける。
「こちらこそ。近いうちに、伯母がおじゃますると思います」
「足をけがしてるって、娘に聞いたよ。お大事にと伝えて」
「はい。じゃあ、すみません、失礼します」
ちょっとした世間話が奈江は苦手だ。何を話していいのかわからず、会話をあっさりと切り上げる。しかし、今はそれだけじゃなく、はやく秋也のもとへ戻りたい気持ちがあった。
笑顔のみね子に頭を下げると、奈江は急いで門へと駆け戻る。
「どうかした?」
奈江は秋也に、すぐ戻りますね、と伝えると、みね子のもとへと足早に向かう。
みね子のいる部屋は仏間だった。窓際に立派な仏壇が見えている。
「いま帰ってきたところで、なんにもなくて悪いね。娘も買い物に出かけてるみたいでね」
「全然、大丈夫です。朝、収穫したナスとししとうです。よかったら、召し上がってください」
もてなしができなくてと、申し訳なさそうな顔をするみね子に紙袋を差し出す。すると、みね子は手に握りしめていた何かを、仏壇の前にある経机の上に置く。
何気にその所作を眺めていた奈江は、ほんの少し、息を飲んで振り返った。門の前からこちらをのぞいている秋也が、思いの外、遠くて、首を傾げる彼に首を振って見せる。
「ありがとうねぇ」
手から紙袋が離れて、奈江はふたたび、みね子へと目を向ける。
「こちらこそ。近いうちに、伯母がおじゃますると思います」
「足をけがしてるって、娘に聞いたよ。お大事にと伝えて」
「はい。じゃあ、すみません、失礼します」
ちょっとした世間話が奈江は苦手だ。何を話していいのかわからず、会話をあっさりと切り上げる。しかし、今はそれだけじゃなく、はやく秋也のもとへ戻りたい気持ちがあった。
笑顔のみね子に頭を下げると、奈江は急いで門へと駆け戻る。
「どうかした?」