望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
不承不承といった様子で、捨て台詞を吐いたあと口を閉ざす。

「彼女とふたりきりで話をしたいのですが」

「ええ、分かったわ」

史輝のひとことで、伯父と令華が客間を出て行った。

突然ふたりきりになったことに動揺して、美紅は俯く。


緊張と気まずさで、まともに史輝の顔が見られない。

何か言った方がいいと分かっているが言葉が出てこない。史輝も無言なため、部屋は静寂に満たされた。

いつの間にか降り出した雨が窓を叩く音が、やけに大きく響く。

気まずさに耐えきれなくなったとき、史輝がようやく口を開いた。

「久しぶりだな」

 顔を上げると、史輝が美紅を見つめていた。

「は、はい……お久しぶりです」

それだけ言うのに、喉がカラカラになるほど緊張する。

「……急なことで戸惑っていると思うが、あまり時間がない。すぐに本家に移る準備をはじめてくれ」

淡々と語る声に、未来の妻に対するような労わりや優しさは感じられない。

美紅はずきんと胸が痛むのを感じた。

(史輝さんは、この結婚が嫌なのかもしれない)

いや、かもしれないではない。普通に考えたら不満に決まっているではないか。
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