望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
母を失った悲しさだけでなく、頼れる相手も心が許せる者もがいない心細さに、当時は泣いてばかりいた。

そんな美紅を支えてくれたのが、史輝と彼の母親だった。

けれど史輝の母の持病が悪化して早世したことで、表立った交流は終わってしまった。

美紅を引き取った伯父母は、元々美紅と史輝の交流を嫌っていた。

 史輝の母親の手前強く反対出来ないでいたが、気づかう相手がいなくなった途端に、美紅への制限が厳しくなった。

 史輝の父は日頃から忙しく、子供の交友関係になど関心を持っていないのか、口出しはして来ないか、伯父と伯母に意見をする大人はいなかった。

それでも史輝は美紅を気にかけ、伯母たちの目が届かない学園内では声をかけ寄り添ってくれていた。

美紅の誕生日を祝ってくれるのは、史輝だけだった。伯父家族もクラスメイトも、美紅の誕生日なんて覚えてすらいないから。

『ほんとうに嬉しいよ……』

美紅の目からぽろぽろ涙が零れて止まらなくなってしまう。

史輝は綺麗なハンカチで優しく美紅の涙を拭ってくれた。

『美紅、今は悲しいことや苦しいことばかりだけど、必ず幸せになれるから大丈夫だよ』
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