望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
本家の総帥夫人は、ただ家で家事をすればいい訳じゃない。

時代が変わっても京極家が力を失わないように、一族が団結するように分家の夫人たちを纏め、仕切らなくてはならない。

昔からの京極家特有のしきたりを守りながら、外部との社交もこなす必要がある。

他にも美紅が知らない仕事だってたくさんあるのだろう。

だから分家に生まれた女性は、いつ選ばれてもいいように教養を身に着け、自分を徹底的に磨いていく。

美紅以外の女性は、どこに出しても恥ずかしくない完璧な令嬢だ。

改めて考えても自分では無理だと思う。

(でも……あの史輝さんでも断ることが出来ないようだった)

やはりこれはもう決定事項で不安でも受け入れるしかないのだ。

美紅は腕に抱いた思い出のラケットをじっと見つめる。

するとあの頃の、史輝への暖かな好意と感謝の気持ちが蘇るようだった。

(私は役立たずかもしれないけど、彼に迷惑だけはかけたくない。私のせいで恥ずかしい思いをさせたくない)

どうしても避けて通れないのなら、少しでも史輝の妻に相応しくなるように努力しなくては。

自信は全くないけれど、せめて少しでもましになるように必死に頑張ろう。
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