望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
未来は緊張しながら、足を進めた。

彼の部屋は美紅の部屋と似た様な作りだったが、家具やファブリックは更に落ち着いてシンプルなものが使用されており明度も低い。

史輝は黒い革張りのソファにゆったりと座っていた。

先日会ったときは、隙が無いスーツ姿だったが、部屋で寛ぐ今は、ゆったりしたシャツを着崩し、髪も洗いざらしといった様子で大分雰囲気が違って見えた。

彼は美紅に目を遣ると、ほんの少しだけ表情を変えた。

「あの、昨日は挨拶できずに申し訳ありませんでした」

「俺が不在にしていたのだから、君のせいではないだろ? そこに座ってくれ」

史輝に正面の椅子を勧められ、美紅は言われた通りに腰を下ろした。

「昨日は急な仕事で泊りになった。一時間程前に帰宅したところだ」

「そうなんですね。あの、それでしたら疲れているでしょうし、打ち合わせはまたあとにした方がいいでしょうか?」

「打ち合わせ?」

史輝が怪訝な顔をした。

「はい。あの川田さんからそう聞きました……史輝さんが私に話すことがあると……だから今後について話があるのかと思いました」

もしかしたら美紅の思い違いなのだろうか。
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