夏に咲く君に、きっと恋する【完】
 「……随分と日和らしい告白だな」

 そう言われ、ふと我にかえる。告白も同然の事を語っていた、見たこともない素直な自分に恥ずかしさを募らせ、顔が赤くなってしまった。

 「なんだかな、君は本当に真っ直ぐで可愛い」

 「やめてくださいよ、からかうのは」

 なんて、冗談を交わして。

 忘れていた、何かを取り戻すように。

 「まあ、卒業して気持ちが変わらなかったのなら、その時は俺もしっかり返事をしたい」

 やっぱり告白してしまったのだと、恥ずかしさは消えないものの、気だるげな夏には似つかわしくないような甘酸っぱい気持ちはいつまでも口の中で弾けていた。
< 18 / 24 >

この作品をシェア

pagetop