お願い、成仏してください! ~「死んでも君を愛する」と宣言した御曹司が幽霊になって憑きまとってきます~
 かまわず、五円玉を取り出す。

「え、俺の成仏って五円なの? 安くない?」
 私は手を合わせて神様にお祈りする。

「二礼二拍手しないと!」
 幽霊のくせに、いろいろとうるさい。

 早くカズが成仏しますように。
 お祈りして顔を上げると、カズがそこにいた。

 やっぱりこれくらいでなんとかなるものじゃないのか。
 私はため息をついた。



 帰ってから、ネット検索で除霊の方法を調べてみた。

 衣類用の消臭スプレーが効く、と書いてあって驚いた。
 すぐにカズに向かって発射してみる。

「うわ、なにすんの!?」
 カズは驚いてよけようとする。

 結局、霧状のそれはカズをすりぬけるだけだった。
 試しにアルコール除菌スプレーもかけてみる。が、やはりカズは消えたりしない。

「効かないじゃん」
「俺って雑菌と同レベル!?」
 カズはショックを受けた顔をした。



 翌日、半休をとって厄払いに行った。

 カズが成仏は仏教だというから、神社ではなくお寺に行った。五千円、八千円、一万円のコースがあった。

「俺の成仏を願うの? 一番安いやつじゃないよね? せめて二番目。できればやっぱり一番高いのがいいけど……」

 窺うような視線が、全身に突き刺さるかのようだった。

 結局、一万円にした。
 だが、なんの効果もなかった。

 厄払いが終わったあと、彼はにこにこして私に言う。
「俺の価値が一番高いやつで良かった!」
 満足はしたようだが、いっこうに成仏する様子がない。

「え、ちょっと待って、さっき、厄払いで申し込んでたよね?」
 あ、気が付いたみたい。
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