お願い、成仏してください! ~「死んでも君を愛する」と宣言した御曹司が幽霊になって憑きまとってきます~
帰る直前のことだった。
課長の江上さんに、ちょっといいですか、と呼ばれた。
小会議室に連れて行かれ、対面で座る。
「昨日から様子がおかしいけど、大丈夫ですか?」
優しく聞かれて、私は困った。
本当のことを話せたらどんなに楽だろう。
相談したい。だけど。
迷ってから、思い切って言ってみた。
「実は……幻が見えているかもしれなくて」
江上さんは驚いたように私を見た。
それはそうだろう。
「大丈夫なの!?」
カズが心配そうに言う。
「幻聴もあるみたいなんです」
私はカズを見て言う。
「俺のことなの? 俺はちゃんといるよ!」
カズがぷんすかと怒っているのが見える。
「じゃあ、今日の半休は病院に?」
江上さんがたずねる。
「いえ、まだ……」
行くなら精神科だろうし、ハードルが高い。厄払いで見えなくなればいいと思ったのだけど。
二つも病院に行かなくてはならないのかと、気持ちが沈んだ。
「しばらくしたら落ち着きますから。ご心配をおかけして申し訳ありません」
「困ったことがあったらいつでも相談して」
私は泣きそうな気持で江上さんを見た。
江上さんは、優しく微笑をくれた。
その後ろで、カズが江上さんを殴ろうとしているのを見て顔をひきつらせた。
「やめなさいよ!」
急に声をあげる私に、江上さんが驚いた。
「大丈夫じゃなさそうだけど。明日、休みをとれるようにしておくから、病院に行っておいで」
「はい」
答えて、私は天を仰いだ。