お願い、成仏してください! ~「死んでも君を愛する」と宣言した御曹司が幽霊になって憑きまとってきます~
「俺を幻覚扱いするだなんて!」
 カズはむっとした顔で文句を言って来る。が、私は必死に無視した。

 小会議室を出るとき、江上さんは扉を開けて私が部屋を出やすくしてくれた。

「ありがとうございます」
 そばを通り過ぎるとと、整髪料の香りがふわっと漂った。

 瞬間、吐き気がした。

「すみません」
 私は謝って、トイレにかけこんだ。

 もしかしてこれがつわり?
 私は思い切り吐いた。

 こんなの見られたら、カズになんて言われるかわからない。
 カズが幽霊になっても女子トイレに入る人じゃなくてよかった、と思った。





 なるべく自炊するようにしている。が、その日は作る気力がなくて、コンビニで弁当を買った。

「いつもは作ってるよね。写真とか見せてくれたし、俺にも作ってくれたし。疲れてるの? 俺が幽霊じゃなかったら作ってあげるのに」
 ぶつぶつ言う彼がうるさい。

 帰ってからレンジアップした。
 レンジの扉を開けて、そのにおいに吐き気がした。
 慌ててトイレに駆け込む。

「大丈夫? どうしたの?」
 うええ、と吐く私をカズは隣でおろおろと見守る。
 こんな姿見られたくないのに。

「たぶんストレスよ」
 きっとそうに違いない。そうであってほしい。

「まさか」
 彼が言葉を切った。

 お願い、気が付かないで。
 私はぎゅっと眉を寄せて床を見つめる。

「妊娠した?」
 気付かれた。
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