お願い、成仏してください! ~「死んでも君を愛する」と宣言した御曹司が幽霊になって憑きまとってきます~
「どうされました?」
 いぶかしげに医師に聞かれる。

「だ、大丈夫です」
 その後、正式に医者から妊娠を告げられた。





 私は呆然と病院を出た。
 私の憂鬱とは反対に、彼は無邪気に浮かれていた。幽霊だからもともと浮いてるけど。

「やったあ! 俺のこどもだよね!?」
「あなた以外に誰がいるっていうのよ」
 能天気な発言にいらっとした。

「うわあ、死んでる場合じゃない!」
「え? 生き返るの?」
 私は目を見開いて彼を見た。

「……それは無理だと思う。ごめん」
 私は大きくため息をついた。
 ぬか喜びさせないでよ。

 午後も病院に行かなくちゃ、と精神科を探す。
 でも、予約は一カ月待たないととれなかった。

 とりあえず予約を入れて、とぼとぼと帰る。
 途中で寄ったスーパーで買い物をしているときも、カズはうるさかった。

「新鮮な野菜食べてね! 妊婦にいい食べ物ってなにかな」
 カップ麺をカゴに放り込むと、急に怒り出す。

「ダメだよ、こんなの!」
「何食べようと私の自由だよ」
「もう一人の体じゃないんだよ!」
「放っておいて」
 私はレトルトや総菜もいくつかカゴにいれて、レジへ行った。
 




 帰ってからカップ麺を取り出し、迷った挙句にやめた。
 総菜を冷蔵庫に入れて、レトルトの白がゆを器に入れて、レンジアップする。
 味気ないそれを、ずずっとすする。

「食欲ない? 大丈夫?」
 テーブルの向かいに座り、彼が聞く。
 私は答えずに、またおかゆをすすった。
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