お願い、成仏してください! ~「死んでも君を愛する」と宣言した御曹司が幽霊になって憑きまとってきます~
 そわそわして、彼はがまんできないようにまた口を開いた。
「赤ちゃん、生んでくれるよね?」
 私は顔を険しくして彼を見た。

「勝手なこと言わないで。現実では私、シングルマザーってことになるのよ?」
「子育て、俺もがんばるから」

「幽霊のくせにどうやって?」
「えっと……幽霊でもさ、なにか動かしたりできるはずじゃん。とある映画では幽霊が硬貨を浮かせたりしてさ」
 いつも空振りしてるのに?

「じゃあ今、やってみせてよ」
「それは……修行してからでないと」
 彼はもじもじと目をそらした。

「修行ってなにするのよ。いつ終わるのよ」
「えっと……」

「ノープランじゃない!」
 思わず声が大きくなってしまった。

「お金の力でなんとか……」
「幽霊にお金なんてないじゃない!」

「遺産、とかさ」
「結婚もしてないのにどうやって遺産をもらうのよ!」

「俺の子なんだから権利はあるよ。貯金はそれなりにあるから。五億くらい」
「五億!?」

「それだけあれば、子供がフィギュアスケーターになりたいって言っても大丈夫なはず。オリンピック選手になるのに一億くらいって聞いたことあるから」

 私はあっけにとられた。
 なんでピンポイントでフィギュアスケートなの。
 そうじゃなくて。

「どうやって親子って証明するの」
「裁判おこすとかDNA鑑定とか」

「裁判なんてどんだけ手間と時間かかるの! 発想が安易なのよ!」
「……ごめん」
 彼はしょんぼりとうなだれた。

「もう俺にはなにもできない。俺にはもう金を出すことしかできないと思うから」

 言われて、私の目にじわりと浮かぶものがあった。
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