お願い、成仏してください! ~「死んでも君を愛する」と宣言した御曹司が幽霊になって憑きまとってきます~





 私はその晩、冷凍しておいたミンチでハンバーグを作った。
 ハンバーグは彼の好物の一つだ。カレー、ラーメン、ハンバーグ。好きなメニューまで子供っぽい。

 二人分を作ってテーブルに並べた。
「これ、俺の分!?」
 彼が目を輝かせた。

「そうよ」
 肯定すると、彼はいそいそと椅子に座った。

 そして、箸をとろうとしてスカッと突き抜ける。
 一緒に並べてあるフォークもスプーンもやはり持てなかった。

「おいしそうなごはんが目の前にあるのに。これなんて拷問」
「お供えのつもりなんだけど。幽霊なら心で食べるんじゃないの?」

「難しいこと言うなよ。初心者だぞ」
 また箸をつかもうとした手が(くう)を切った。

「パパになるんでしょ。しっかりしてよ」
「え!?」
 彼の顔がまた、ぱああ! と輝いた。

「俺、がんばるから!」
 彼の明るい声に、私は照れ臭くてうつむいた。





 お風呂から出てくると、彼は寝そべって私のスマホで赤ちゃん用品を検索していた。

 電気系には干渉できるって言ってたっけ。だから彼にもスマホの操作ができるのか。

「いろいろあって迷うねえ。こんなジャングルジムとか置きたいなあ」
「何歳の話をしてるのよ。そもそも、部屋が広くないと無理よ」
 私はあきれてスマホを取り上げた。

「見てるのに!」
「私のスマホだから」

「俺の分も買って」
「無理よ」
 私の収入では二台のスマホなんて分不相応だ。
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