お願い、成仏してください! ~「死んでも君を愛する」と宣言した御曹司が幽霊になって憑きまとってきます~
「少しだけ、お時間ください」
「いくらでも」
 江上さんの優しさに、涙が出そうだった。

「ダメだよ、こんな男についていったら!」
 カズはぷんぷんと怒って言った。





 会議室を出て仕事にキリをつける。
 その間もカズはぷんぷんと怒っていた。

「ねえ、行かないでよ。あいつだって男なんだよ?」
「大丈夫だから」
 こっそりとささやく。

「だけどさ。俺以外の男と出かけるなんて」
 私はため息をついた。
 非常階段に移動して、周りに人がいないのを確認する。

「あの人はただの上司よ。今後のことを相談しないといけないの」
「そんなの月曜日でもいいじゃん」

「私だって不安なのよ。早く相談できるならしたいわ」
「俺に相談しなよ」

「うちの会社の制度なんてあなたは知らないじゃない。産休をとるときにどうするのか、とか」
「それはそうだけど」
 うじうじと答える彼に、私はため息をついた。

「もっと私を信じて」
「君は俺を信じてくれなかったくせに」
 私はむっとした。

「実際、騙してたじゃない。普通のサラリーマンのふりして」
「それは君が好きだったから……」

「好きなら騙していいなんてことないわ!」
「だけど、でも!」

「信じてたのに」
 私は彼をにらむ。
「一緒に生きていけるって、信じてたのに」
 なのに、こんなことになるなんて。

「俺だって死にたくて死んだんじゃない!」
 彼が大声をあげる。

 直後、私の目からぽろりと涙がこぼれた。
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