お願い、成仏してください! ~「死んでも君を愛する」と宣言した御曹司が幽霊になって憑きまとってきます~
 どういう意味で言っているのかわからなくて、困惑して彼を見つめる。

「前からあなたのことが好きでした。だけど私は結婚していたし、あなたには恋人がいました。かなわない恋だと思っていました。だけど、今なら」

 え?
 私はただただ驚いて彼を見る。

 今、私のこと好きって言った?

「急にこんなこと言われても困りますよね」
 寂し気に、彼は微笑する。

 胸がしめつけられた。

 カズと違って、今、ここにいてくれる。
 抱きしめられているその感覚が、はっきりとすべての肌から伝わって来る。

「私はあなたを守りたい」
 まっすぐに私を見つめて彼は言う。

「あなたも、あなたの子供も愛します」
「そんな……」
 私は言葉を続けられなかった。

「私を利用してくれていいです。あなたのために、できることをしたいんです。生まれるまでに私と結婚したら、その子は私の子にできますよ」

 私は呆然とした。
 もし彼が結婚してくれたなら、今なら彼の子として出生届を出せる。
 母親だけの子にしなくてもすむ。

 だけど、そんなずるいこと、許されるわけがない。

 だけど。

 迷う私の顎に手を添えて、彼は私を上向かせる。

 彼の顔が近付いてくる。

 どうしたらいいの。
 私は動けずにそのまますがるように彼を見た。

 もう少しで唇が触れる。

 私はとっさに顔をそむけた。

 その直後。

 電気が消えた。
 江上さんの動きが止まった。

「停電か?」
 LEDなのに、蛍光灯みたいに電気がちらつきながらまた点灯した。
< 31 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop