最強総長さまは元執事
陽太side
パタンッ……
扉が微かに音を立てて閉まり、カンカンカンという金属音のような音が聞こえた。2人が階段を降りた音だ。
「………えっと、なんというか、いきなりの嵐がさっさと去っていった感じかな?はは……」
優真が絞り出すように言った。
「だな……」
「だね……」
オレと葵はそれしか言えず、湊も黙りこんでいる。
いや、湊に限っては平常運転か。
「まさか、流星が女性を連れてくるなんてね……」
ホントだよ。
珍しく流星から優真宛てに、《明日、倉庫に行く》というメールが届いたけど、要件がわからないもんだから4人で待っていたのに。
部屋に入ってきた流星の後ろから、見知らぬ美人が現れて、何事かと思った。
というか、正気を疑ったね。
コイツは本当に流星か?って。
挙げ句の果てに、優真がその人は誰か訊いた答えが、「愛華様だ。」だ?
流星が誰かに敬語を使うなんて見たこともない。
天地がひっくり返ってもありえないと思っていたことが2つも同時に起こったもんだから、オレの脳がヒートしたのも無理はない。
しかも。
最初は驚いたくせに、そのあと優真はなにかを察したような様子だった。
なにか心当たりがあったのか。
言いかけた言葉がその答えだったはずだ。
流星があからさまに遮ったのだから。
口止め、という表現の方が正しいかもしれない。
最古参の優真だけが知っている何かなのだろう。
流星は、オレたちに知られたくなかったみたいだが。