最強総長さまは元執事
そのとき、ずっと口をつぐんでいた花園愛華が、突然口を開いた。
『気にしてないから大丈夫。落ち着いて、流星。』
『……すみません。』
……オレたちを何度驚かせたいのだろうか。
いつだって我が道を行く、あの流星が他人の言うことを聴いた。
さっきオレは、天地がひっくり返っても起こらないと思っていたことが2つ起きたと思ったが、3つの間違いだった。………まあここまでくると、2つだろうが3つだろうが変わんねーよって感じではあるが。
『総長が人の言うこと聴いてる……』
葵が思わずといった様子で呟いた。
わかる、わかるぞ葵。と言いたくなる気持ちを全力で抑えたオレ。よくやった。
『ごほん。とりあえずさ、流星はなにをしに来たの?花園さんを僕たちに紹介するため?』
またもや優真が沈黙を破った。
空気を読む天才(オレ認定)である優真が、苗字呼びのところを見ると、やっぱり名前呼びは避けたほうがいいのだろう。オレは……苗字呼び捨てで勘弁してほしい。“さん”とか付けるタイプじゃないから。
『……今年の暴走に俺は出ないつもりだった。が、愛華様が見たいとおっしゃった。だから愛華様と一緒に参加することにした。愛華様と顔合わせも兼ねて、今日直接伝えに来ただけだ。』
『なるほどね。』
???
“なるほど”……? なんで優真は今の説明だけで理解できるんだ……??
まさかオレが理解力ないのか?と不安になり、葵と湊を見たが、2人とも頭の上に?が浮かんでいた。
そうだよな!? やっぱ分かんねぇよなっ?
オレだけじゃなかった……と変に安心したら、流星がいつまで経ってもソファーに座る様子がないことに気づいた。
いつもは部屋に入ってきたらまっすぐソファーに直行するのに……。