本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
 バスタブに横向きに寄りかかりながらシャンプーをしてもらった後は、トリートメントを丁寧に揉み込まれる。アメニティのヘアケアセットは、優しいハーブの香りとミントの清涼感のバランスがいい。リラックスとリフレッシュを同時に味わえ、思わずほうっと息をついた。

「どう? 気持ちよかっただろう?」

 トリートメントを流しながら圭君が言う。

「うん、ありがとう」

 素直にお礼を言ったら、彼が目を見張った。

「なに? 私がお礼を言ったらおかしいの?」

 バスタブの縁に頭を乗せたままじっとりとした視線を送ると、彼はにこりと微笑む。

「いや? 素直な香ちゃんもかわいいなと思っていただけだよ」
「……っ」

 そういうところだよ、圭君。
 私のことをなんのてらいもなく『かわいい』だなんて言う男性(ひと)はあなたくらいです。

「別にお世辞なんて要りません」
「確かにお世辞なんて必要ないな。香ちゃんは昔から本当にかわいかったけど、今ではさらに魅力的な大人の女性になったんだもんな」

 言いながら彼は指先で私の顔にかかった髪をそっとよける。ぞくっと甘い痺れが背中に走る。反射的に首をすぼませた私に、彼は|
蠱惑《こわく》的な笑みを浮かべた。
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