本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
腹をくくったらなんだかすっきりした。と同時に、目の前の彼女がすこしかわいそうに思えてくる。
彼女にしてみれば、私の方が後から割り込んできたように感じたのだろう。悔しくて腹立たしい気持ちはよくわかる。私もそうだった。
彼女も後になって見当違いな思い込みだと気づいたら、自己嫌悪と羞恥で悶え苦しむのだろうか。
こちらを必死に睨みつけている彼女を見た。パッチリとした瞳に涙をにじませ、肩をフルフルと小さく震わせている。小柄でかわいらしく、つい守ってあげたくなるような子だ。きっと多くの男性達を惹き付けるだろう。
「もったいないわね」
素直な言葉が口からポロっとこぼれた。「え?」と菊池さんが目を見開く。
「たしかにあなたの方が若くてかわいい。それは間違いないわ。仕事バカとか拗らせ片想いなんてまったく縁がなさそうだし」
「は?」
彼女の顔には、はっきりと『この女、なにを言っているの?』と書いてある。その顔を真正面からしっかりと見据える。
「でも、誰かに優劣をつけたりおとしめたりすることで築いた地位なんて、泥で作った舟と同じ。あっという間に溶けて沈んでしまう。その舟が立派であればあるほど、深い場所まで行って自力で戻ることはできなくなるのよ」
「なっ……!」
「それにね、そんな人に彼は――夫はなびいたりしないわ。たとえ私と別れたとしてもね」
「……っ」
「朝比奈圭吾という人間は、弁護士であることに矜持を持っているの。どんなときでも法を司る者であるという自覚を忘れたりしない。そんな彼が、違法まがいの嫌がらせをするような人のことをすきになるはずがない」
ひと言ひと言はっきりと、確信をもって言葉にした。
彼女にしてみれば、私の方が後から割り込んできたように感じたのだろう。悔しくて腹立たしい気持ちはよくわかる。私もそうだった。
彼女も後になって見当違いな思い込みだと気づいたら、自己嫌悪と羞恥で悶え苦しむのだろうか。
こちらを必死に睨みつけている彼女を見た。パッチリとした瞳に涙をにじませ、肩をフルフルと小さく震わせている。小柄でかわいらしく、つい守ってあげたくなるような子だ。きっと多くの男性達を惹き付けるだろう。
「もったいないわね」
素直な言葉が口からポロっとこぼれた。「え?」と菊池さんが目を見開く。
「たしかにあなたの方が若くてかわいい。それは間違いないわ。仕事バカとか拗らせ片想いなんてまったく縁がなさそうだし」
「は?」
彼女の顔には、はっきりと『この女、なにを言っているの?』と書いてある。その顔を真正面からしっかりと見据える。
「でも、誰かに優劣をつけたりおとしめたりすることで築いた地位なんて、泥で作った舟と同じ。あっという間に溶けて沈んでしまう。その舟が立派であればあるほど、深い場所まで行って自力で戻ることはできなくなるのよ」
「なっ……!」
「それにね、そんな人に彼は――夫はなびいたりしないわ。たとえ私と別れたとしてもね」
「……っ」
「朝比奈圭吾という人間は、弁護士であることに矜持を持っているの。どんなときでも法を司る者であるという自覚を忘れたりしない。そんな彼が、違法まがいの嫌がらせをするような人のことをすきになるはずがない」
ひと言ひと言はっきりと、確信をもって言葉にした。