本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
「俺はおまえのことをずっと妹のように〝思っていた〟。が、今は違う。シンガポールで再会してから、俺はおまえのことをひとりの女として見ている。そうじゃなければこんなふうになっていない」

 彼は私の手を取り、スラックスの上にあてがった。明らかに太ももと感触の違う、硬く張り詰めた感触に「あっ」と声が漏れる。

「おまえは俺が〝妹〟に対してこんなふうになる男だと思っているのか?」

 勢いよくかぶりを振った。彼の倫理観や正義感を私は嫌というほど知っている。

 その瞬間、唐突に悟った。
〝妹〟ということにこだわっていたのは、彼ではなく私の方だったんだ。

『幼なじみだから』
『妹みたいなものだから』
『だから彼のそばに居られるのだ』

 あのころ何度も自分に言い聞かせた言葉が、コンプレックスとなって頭の片隅にこびりついていた。

 突然降って来た答えは、胸の中心にストンとはまった。彼の『愛している』という言葉がじわじわと広がるように染み込んでいく。

「本当に……? 本当に圭君はわたしのこと」
「愛しているよ。昔の小さかった香ちゃんのことはもちろん、今の香子のことを、ひとりの女性として愛してる。誰よりも大切な存在だ」

 真摯な瞳と真っすぐな言葉に、胸がキュウーっと痛いくらいに縮んだ後、大きく高鳴った。
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