本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
「私もっ……私も圭君のことを愛してるわ」

 衝動のまま彼の首に腕を回して、ぎゅっと抱き着く。

「初恋のときよりもっと。苦しいくらいすきで、どうしていいかわからないの」
「それって……俺が初恋?」
「あっ!」

 思わぬ暴露してしまったが、ここまで来たら隠しておく必要もない。おずおずとうなずいたら、力いっぱい抱き締められた。

「うれしいよ。俺は気づかないうちに、ほかにも香子の〝初めて〟をもらえていたんだな」

 ギュウギュウと抱き締め合う。
 広い胸に顔をうずめたら、甘みのある爽やかなフレグランスが鼻の奥いっぱいに広がった。
 いつの間に馴染んだのだろうか。ドキドキと胸が高鳴るのに不思議と安心感もある。

 再会した当初、この匂いを嗅いだときは知らない人のようで妙に緊張したのが懐かしい。
 とはいえまったくドキドキしないわけでもない。むしろ胸の高鳴りは今の方が大きいくらいだ。

 顔を上げると熱のこもった瞳とぶつかる。
 まぶたを下ろすと同時に唇が重なった。

 ぬるりと口腔へ押し入ってきた舌を迎えるようにして自分のものを絡める。一瞬にして貪るような激しい口づけになった。
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