本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
「……圭吾?」

 どうしたのだろう。もしかして疲れが溜まっているのかもしれない。
 新婚旅行の際にふたりだけで挙式をしようと決めてから、仕事と同時進行で準備に奔走した。お互い基本的に土日祝が公休日ではあるけれど、まとまった休みを確保するためには片づけておかなければならない仕事が山のようにある。なんだかんだで出国する直前までお互いに残業三昧だった。

 大丈夫? と口を開きかけたら、大きく開いたドレスの背中をサワリと指先でなぞられる。

「ひゃっ」
「今すぐ抱きたい」
「なっ!」

 脇のところから指が入ってきて、胸のふくらみをなぞった。

「ちょ、ちょっと!」

 慌てて身をよじるが、それくらいで諦めてくれるならいつも苦労しない。せっかく色々とがんばって準備したのに、ここまできて挙式キャンセルなんて冗談じゃない。

 じっとりと上目づかいで彼を睨む。

「圭吾、おじさんくさいわよ」

 以前のように『三十三なんてもうおじさんだろ』と返ってくると思ったが、違っていた。

「そんな俺は嫌か?」

 軽く眉を寄せ、小首をかしげて顔をのぞき込まれる。少し困ったような甘えた仕草に私が弱いことを知っての所業だ。
 爽やかな大人の男が見せるあざとさに、わかっていても心を撃ち抜かれる。
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