本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
 褒められて喜び悶えている私の心境を知ってか知らずか、彼は追い打ちをかけてくる。

「弁当もありがとう。すごくおいしかった」
「卵焼き、焦げてたのに?」

 ちらりと視線だけを彼に向ける。素直に「ありがとう」と言えばいいのに、我ながらかわいくない。だけど朝からずっとそればかりが気になっていたのだ。

「そうだったか? 別に気にならなかったけど。それよりも今日は特に忙しかったから本当に助かったよ。香ちゃんの弁当がなかったらお昼食べそびれるところだった。だからこれはそのお礼」
「えっ!」

 まさかあんなお粗末なお弁当にたいして、こんな豪華なお礼をもらえるなんて思わなかった。
 最初に案内された時に『Reserved』の札が置かれていたので、あらかじめ予約してくれていたことはわかっていた。

 〝華金〟〝五つ星ホテル〟〝カップルシート〟

 これだけの条件がそろっているのに、いったいどうやってこんな直前に予約を取ることができたのだろう。

 やっぱりなにか伝手でもあるのかな。彼が務めているのは都内でも有数の大手法律事務所で、実家も法律事務所を経営している。顔が利くことは間違いないが、だからと言って簡単に予約が取れるものでもない。きっと忙しい仕事の合間に時間を作って予約を取ってくれたのだと思ったら、なんだか胸が痛かった。
 少しでも手助けになればと思ったのにまったく逆効果だ。
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