本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
***

「圭君、これっていったい……」

 バーラウンジを出た後エレベーターでまっすぐ一階のロビーに下りるかと思いきや、そうではなかった。

「折角の週末だし、たまにはこういうところでのんびりするのもいいかと思って」

 連れて来られたのは、バーラウンジから数階下の客室だった。広々とした部屋は、インテリアは上質で落ち着いた色でまとめられていて、ゆったりとくつろぐことができそうだ。真ん中には大きなダブルベッドが置いてあり、窓からはさきほどのバーラウンジよりやや視点の低い都会の夜景が見えた。

 よく当日にこんな部屋が取れたものだ。聞けば当日限定の宿泊プランがあると言う。
 相変わらずスマートだ。感心すると同時に、なんだか微妙にモヤっとした。

「私、ちょっと出てくる」
「え、どうして。泊まるのが嫌なのか?」
「そうじゃなくて……着替えとかなにも持って来ていないから」

 私だってさすがに化粧直し用の簡易化粧品は持ち歩いているけれど、お泊りセットを常備しておくような習慣はない。今日はただでさえ暑かった上に、午後から奔走していつも以上に汗をかいた。

 百歩譲って今着ている服を明日も着るとしても、下着は使い回すのに抵抗がある。コンビニでもいいから新しい下着を調達したかった。
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