君のブレスが切れるまで外伝―on a rainyday remember love―
 全力疾走でもこの足ではそう遠く離れることはかなわない。
 残念ながらすぐに自分が死ねる場所を見つけることはできず、考えられたのは線路へ飛び込み電車から跳ねられるくらいのものだった。
 仕方がない。そんな風に線路沿いまで歩くと、何か頬へと冷たいものが触れる。


「水……? あ……」


 降るだろうと思っていた空がとうとう泣き出してしまった。ポツポツとだったはずの水滴は次第に全身を濡らしていくほどの水で溢れかえる。


「……同じ名前なのに、あなたは泣けるのね」


< 13 / 71 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop