君のブレスが切れるまで―on a rainyday remember love―

第4話 花言葉

 2014年 6月


 十三歳、第二次性徴を終えた私の身長は更に高くなり、そしてここから先は伸び悩むことになるだろう。恐らく、ほとんど変わらないままだ。
 至って平均。高くもなければ低くもなく、160センチに届くか届かないかといったところ。様々なことに対して規格外と、奇異の目を向けられた私にとっては合格点だ。


 もう一つ変わったとすれば、通っていた大学を早期卒業できることが決まったこと。大学院へ進むことも道であっただろうが、私はそれを一蹴した。これ以上、勉学に励んだとしても私が望む答えは出ないと踏んだから。
 どんなに賢くなろうが、あの日の気持ちを見つけることができない。あの子から受け取ったあたたかいものは、他の誰からも受け取ることはできなかった。


 知りたい、あれはなんだったのかを。
 知りたい、私の生きる理由になったあのあたたかさを。
 知りたい、あの子だけが持っていた輝きを。
 その答えを持ってるとすれば、きっと――


 受話器を取り、懐かしい彼の国へいる執事へと電話をかける。
 耳元から零れる声。何気ない話を挟み、思い出話に花を咲かせ、本題へと入るのだ。


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